俺には中学のころからの付き合いの親友がいる。
大学も同じところに進学し、会社も同じところに入った。
女の取り合いをしたこともあった。
結局、会社で開かれるタイピングコンテストでいい成績をとったほうが
いい成績をとったほうが彼女に告白するということになり
彼女は親友の妻となった。
彼女の名前を京子(仮名)とする。
ある日、親友と飲みに行くと親友はある都市伝説を話し始めた。
「透明人間になる服」なるものが若者の間で流行してるらしい。
なんでも、その服(ジャケット、帽子、靴、手袋)をはめると
その人の存在自体がこの世から抹消されるらしい。
つまり、従来の姿が消えるというのとは少し違った「透明人間」というわけだ。
存在が消えるからだれも事件性には気付かないというわけだ。
馬鹿な都市伝説をつまみに酒を飲み進めたせいですっかり俺たちは
酔いが回ってしまった。
千鳥足になりながら、街灯もまばらな夜道をふらふら歩いていると
道の真ん中に手袋が落ちていた。
手袋は左手のもので薬指の部分がちぎれたのかなくなっていた。
親友はよせばいいのに「中身はいってたりして」と笑いながら
手袋をつまみあげた。
そこには…