もうだいぶ昔、浮遊霊様っていう遊びにハマっていた時期がある。要はコックリさんの類。
名前なんて何でも良かったし、コックリさんをやっても、どうせ近寄ってくるのはそこら辺の浮遊霊という話で、誰かが悪ノリして付けた名前だったと思う。
友達がいっていたのだが、コックリさんの類に自分の寿命を聞いちゃいけないらしい。 それでも、やはり自分の未来については知りたいところ。
ある日、未来についての質問もネタが尽きかけていた時、こんなことを聞いてみた。
「俺はこの先、どんな人生を送りますか?」
カーテンを締め切り、蝋燭の光が不気味に揺れている薄暗い俺の部屋、そこにはいつものメンツが四人。 シャープペンがスルスルと動く。
『…て…ん…ら…く』
部屋の温度が少し下がった気がした。
「てんらく…転落?この先、転落人生ってことかよ?」
友達のひとりが笑ったので内心かなりブルーだったのだが、おどけたり悪態をついたりして見せた。
すると別の友達が、少し慌てたように、おい、あまりふざけるな、ヤバイって、と声を荒げた。
少しの沈黙の後、ついさっきまで俺を笑っていたはずの友達が、何の前ぶれもなく、俺達四人のど真ん中に向かって大量のゲロを吐き、それは儀式に使われていた紙を中心に広がっていった。
遠足のバスでの惨劇などを思い出しながら、『部屋の掃除ダルイなぁ』などと自分の哀れんでいると、派手に吐いた友達が両脇を抱えられて外に連れ出されたのを見計らって、ひとりの友達が真顔で近づいてきた。
「だからヤバイって言っただろ?どんな浮遊霊だか地縛霊が来てたか分からないんだぞ?タチ悪いのだったらどうする。しばらくは部屋の四隅に盛塩でもしとけよな」
その友達は、自称『見える人』だったが、見えない俺には、否定も肯定も出来ない存在だった。 その時までは。
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