「クレジットカード」を題材に小説を書いてみた

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1:2023/11/21(火) 20:55:13.705 ID:5TxMIig30.net
「クレジットカード」
いらっしゃい。いらっしゃい。ここはクレジットカード屋さんだよ。
え?店員が一人も居ないだって?居るじゃないか。ここに。
え?クレジットカードがないだって?或るじゃないか。ここに
え?店がないだって?在るじゃないか。ここに。
なになに、店員が居なきゃクレジットカードを買えないって?

いいかい。何かを売るにしても、買うにしても、それは目に映るものじゃなくてもいいんだ。聞こえなくたっていいんだよ。透明に価値を乗せるのが禁じられているわけじゃない。「想いが必ず形で現せ」だなんて、誰が決めたのだろう?そんなことは、馬鹿げている。

ある所に、前方の「見えない」を見得る"不透"の詩を詠んだ人が居る。
彼は言った。「限りなく透明で且つ素晴らしい経験を体現するとしたら、その価値は、居場所は。存在意義は。誰もが見ない物事に理屈を附けて誰かに売り出そうなんて烏滸がましい事他ならないよ。」と。その言葉は想いとして世に広がり、マーチャンダイズの一連となってしまった。

カードだって同じだ。使うのには「資格」がいるだとか、「教訓」を売りにつけろだとか、元の存在意義を忘れて了ったみたいに空を切る。いつしかその語は姿を現さなくなった。それに誰も気づかない。今の今まで、忘れているみたいだ。

さあここはもう店仕舞いだよ。もう終わり。不透に魅入られれたのが運の尽きだったみたいだ。でも、いずれは忘れ去られるのが世の自然だからね。あまり悲しんではいないよ。

さて、次の当てはあるのかい?ここら一帯はもうすぐ仕舞いだから、出来ることなら早くこの街を出た方がいい。
…なぜそんなに私のことを心配するのかって?それはね、初めから君の眼は「見えない」からだよ。




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