1: デビルゾア ★ 2023/10/05(木) 05:06:22.29 ID:JAO4O0vf9
日本経済にこれまでにない異変が生じている。岸田文雄首相は訪問先のニューヨークで「日本経済が新たなステージへと移行する変化が出ている」とポジティブな発言を行ったが、現実には、物価上昇と不景気が共存する、いわゆるスタグフレーションである可能性が高い。岸田政権は秋の臨時国会で大型の景気対策を策定する見通しだが、現状認識を誤って政策を立案した場合、今後の日本経済に致命的な影響を与えることもあり得る
(中略)
コロナ危機が発生した当初、多くの専門家が、日本は恐慌に近い状況となり、激しいデフレと供給過剰が発生すると予測していた。
だが筆者は、出演したテレビ番組や執筆した記事などにおいて、「現実はその逆であり、一定の期間を置いて激しいインフレと供給制限が発生し、日本経済はスタグフレーションに陥る可能性が高い」と繰り返し主張してきた。
(中略)現実は筆者の見立て通りに進んでいる。
日本経済はこれまでにないインフレに直面しているものの、賃金は物価上昇に追い付いていない。モノやサービスの供給もままならない状況であり、日本はまさに不景気とインフレが同時に起こるスタグフレーションとなりつつある。
では、なぜ日本経済はこうした事態に陥っているのだろうか。これには複数の要因が複雑に絡み合っているのだが、最も大きいのは(企業収益の低迷を背景とした)低賃金の慢性化と、それに伴う労働力人口のシフトである
(中略)
こうした状況を一変させたのがコロナ危機である。
タクシー運転手が最も分かりやすいケースだが、賃金が安く、労働条件が悪い職場の労働者たちは、コロナ危機をきっかけに一斉に退職し、就業者数が急減した。
政府が感染症法上の5類移行を決定し、経済活動が元の状態に戻っても、退職した高齢の労働者は元の職場には戻って来ない
(中略)
タクシーのみならず、同じ現象は配送や建設作業、店舗などあらゆる職場において観察されており、一方、若年層はもともと条件の悪い職場での就業を希望しないため、人手不足が一気に深刻化している。例えばタクシー運転手はここ数年で約2割減少したが、この減り方は、到底、人口減少で説明できるものではない。
労働者が職場に戻らず、深刻な人手不足になるという問題は、コロナ発生当初にはまったく想定されていなかった。
筆者ら少数の専門家は、このリスクについても何度も警鐘を鳴らしたが、当時の雰囲気は正反対で「一時的な労働者の気の迷い」「コロナが収束すれば労働者はすぐに仕事に戻ってくる」という安易な予想が大半だった
(中略)
今、発生している極度の人手不足や物流の混乱も一時的なものと考える専門家は依然として多い。この期に及んで経済界は、外国人労働者の大量受け入れや、残業規制の一時的な緩和、高速道路の速度規制緩和など、場当たり的な対策を次から次へと提言しており、一部は多少の効果をもたらすかもしれない。
だが発生している問題の根本は、慢性的な企業の低収益とそれに伴う賃金低下という構造的要因であり、企業経営のあり方を抜本的に変革しない限り、状況が好転する可能性は低い
(中略)
以前と同様、単純な需要不足を前提に経済政策を策定する場合、公共事業や給付金、減税などによって需要を喚起し、経済を成長軌道に乗せるというシナリオになるだろう。だが、構造的問題に起因する供給制限がかかっている時に、安易に需要拡大策を実施すると、インフレを悪化させるリスクが無視できなくなる。
経済学的に考えた場合、スタグフレーションが発生しているということは、総供給曲線が顕著に左シフトしているということであり、これが物価高騰を招いている(いわゆるコストプッシュ・インフレに供給制限が加わった状態)。
ここで、需要を単純に拡大する政策を実施してしまうと、今度は総需要曲線が右にシフトし、ただでさえ上がっている物価がさらに跳ね上がり、生活困窮者が続出してしまう。
つまり、スタグフレーションが発生している時に財政出動などの単純な需要喚起策は御法度であり、この話は、どの経済学の教科書にも書いてある基本事項といってよい。ところが経済の質的変化が起こっている局面では、多くの専門家がこの現実に気づかない。
もし、構造的な供給制限が発生しているのだとすると、政府が行うべき対策は需要拡大ではなく、供給制限を解消する企業側への支援ということになる
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https://news.livedoor.com/article/detail/25104040/