1: 征夷大将軍 ★ 2023/09/03(日) 01:06:06.48 ID:PCxMtkba9
――登山史的レベルの登山家ではありませんでしたが、疑惑ということで言うと、2018年にエベレストで滑落死した栗城史多さんがいます。彼は知名度という点では、他の追随を許さなかった。森山さんのブログで、単独と言いながら厳密な意味では単独じゃないとか、真の山頂を踏んでいなかったのではないかという疑惑もあるけれども、個人的にはそれはどうでもいいんだ、と。
それよりも〈どうしても看過できない嘘は、彼は本当は登るつもりがないのに、「登頂チャレンジ」を謳っているところです〉と書いていて深く納得したんです。つまり、彼が掲げていた目標が著しく実力と見合っていなかった。それは嘘をついていることと同義だと。
森山 そう書いたときは、僕はそう思っていたんです。でもその後、ちょっと考えが変わりました。いろいろな人から聞いた話を総合すると、栗城さんは本気で登れると考えていたようです。つまり、栗城さんの場合は、端から見たら嘘に見えても、本人は嘘をついているつもりはなかった。できるものだと信じ込んでいたのだと思います。それに周りの人間が勝手に惑わされたり、騙されたりしちゃったんですけど、当人に悪気はなかったんじゃないでしょうか。普通の人間には理解し難い話なんですけど。
――悪意のない嘘というのは、手強いですよね。
森山 いちばん手強いです。自分は正しいと信じ込んでいるわけですからね。
――森山さんは栗城さんにインタビューしたことがあるんですよね。
森山 そのときも「なんで森山さんはわかってくれないんですかね」という感じだったんです。こちらとしては「それはわからないよ」と思うばかりでした。宗教にはまり込んじゃっている人がとんでもない話を信じてしまって、それを第三者が翻意させるのって本当に難しいじゃないですか。それと同じことだと思います。
酸素が必要なのは7つの山のうちエベレストだけなのに…
――栗城さんは生前、「7大陸最高峰の単独無酸素登頂」を掲げていて、それに関しては、かなり早い段階で登山界の人たちが「酸素が必要なのは7つの山のうちエベレストだけなのに、それをこのように謳うのは誤解を招きかねない」と言っていて。もっともなので、周りの人たちに指摘されて、すぐに修正されるものだと思っていたんです。でも、基本的にこの表現は最後まで変わらなかった。それもすごく不思議だったんですよね。「嘘」とまでは言わないにせよ、間違った情報を与えかねないじゃないですか。
森山 いや、周囲の人たちも、結局はわかっていなかったんだと思います。山岳関係者もいろいろいるので、わかっているようでわかっていないんですよ。特に先鋭的な登山の分野になると、理解できる人は本当に限られてくる。登山雑誌の人間でさえわかっていないことがよくありますから。変な登山家が現れても取り上げちゃったりするし、間違いをそのまま放置したりしてしまう。
※全文はリンク先で
それよりも〈どうしても看過できない嘘は、彼は本当は登るつもりがないのに、「登頂チャレンジ」を謳っているところです〉と書いていて深く納得したんです。つまり、彼が掲げていた目標が著しく実力と見合っていなかった。それは嘘をついていることと同義だと。
森山 そう書いたときは、僕はそう思っていたんです。でもその後、ちょっと考えが変わりました。いろいろな人から聞いた話を総合すると、栗城さんは本気で登れると考えていたようです。つまり、栗城さんの場合は、端から見たら嘘に見えても、本人は嘘をついているつもりはなかった。できるものだと信じ込んでいたのだと思います。それに周りの人間が勝手に惑わされたり、騙されたりしちゃったんですけど、当人に悪気はなかったんじゃないでしょうか。普通の人間には理解し難い話なんですけど。
――悪意のない嘘というのは、手強いですよね。
森山 いちばん手強いです。自分は正しいと信じ込んでいるわけですからね。
――森山さんは栗城さんにインタビューしたことがあるんですよね。
森山 そのときも「なんで森山さんはわかってくれないんですかね」という感じだったんです。こちらとしては「それはわからないよ」と思うばかりでした。宗教にはまり込んじゃっている人がとんでもない話を信じてしまって、それを第三者が翻意させるのって本当に難しいじゃないですか。それと同じことだと思います。
酸素が必要なのは7つの山のうちエベレストだけなのに…
――栗城さんは生前、「7大陸最高峰の単独無酸素登頂」を掲げていて、それに関しては、かなり早い段階で登山界の人たちが「酸素が必要なのは7つの山のうちエベレストだけなのに、それをこのように謳うのは誤解を招きかねない」と言っていて。もっともなので、周りの人たちに指摘されて、すぐに修正されるものだと思っていたんです。でも、基本的にこの表現は最後まで変わらなかった。それもすごく不思議だったんですよね。「嘘」とまでは言わないにせよ、間違った情報を与えかねないじゃないですか。
森山 いや、周囲の人たちも、結局はわかっていなかったんだと思います。山岳関係者もいろいろいるので、わかっているようでわかっていないんですよ。特に先鋭的な登山の分野になると、理解できる人は本当に限られてくる。登山雑誌の人間でさえわかっていないことがよくありますから。変な登山家が現れても取り上げちゃったりするし、間違いをそのまま放置したりしてしまう。
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