【怖い話】俺じゃなかった…

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俺には霊感があるのか、小さな頃から街中のいたるところで幽霊を見かけることがあった。しかしあくまで、見えないふりをして生きて来た。

『幽霊が見える』なんて周りに言えば、その瞬間からオカルト好きだの妄言癖だのと揶揄われて虐められると思っていた俺は、この事は親にも言った事はなかった。

そんなある日、某スクランブル交差点を歩いていた時、奇妙な幽霊を目撃してしまった。
これまでと違うのは、その幽霊が常に『タスケテ…タスケテ…』と、まるで誰かに縋るようにすすり泣いていたということだった。
非常に不憫だったが、俺はその幽霊に声を掛ける事はなかった。
なんでかと言えば、その幽霊は90度くらいに首を直角に倒して微笑んでいたからだ。

しかも、悪寒もした。だから近寄らないようにした。
きっとアレは質の悪い幽霊だと、俺の直感は告げていたんだ。

しかし、その幽霊は来る日も来る日も同じ交差点の車道付近で棒立ちして人の往来に向かって『タスケテ…』と囁き続けている。
もしかしたら事故か何かで首の骨が折れてああいった奇妙な体勢にあるのかもしれないと、俺は少しずつ同情心が沸いてきていた。
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