↓「ゲド戦記」制作前
20年かそこら以前、宮崎駿氏から手紙で、(当時はまだ3巻までしか出ていなかった)アースシーをベースにしたアニメ映画を作りたいという意向が伝えられました。わたしは氏の作品を知りませんでした。知っていたのはディズニー・アニメのようなものだけで、ああいうのは好きではなかったので、ノーとお返事しました。
6、7年前のこと、友人のヴォンダ・N・マッキンタイアから『となりのトトロ』の話を聞き、いっしょに鑑賞しました。わたしはその場で、永遠の宮崎ファンになりました。ミヤザキはクロサワやフェリーニと同じ、天才だと思っています。
その数年後、アースシー・シリーズの日本語訳者、清水真砂子氏が宮崎駿氏の知人だと聞き、もしまだアースシーに興味があるようなら、喜んで映画化の件を話し合いたいと伝えてくれるようお願いしました。
↓「ゲド戦記」を鑑賞後
映画スタジオが自著をどのように扱うか、口出しのできる作家はほとんどいません。一般に、契約書に署名してしまえば、著者はもう存在しないも同然です。「監修者」などの肩書きに意味はありません。ですから脚本作家以外の作家に、映画の出来についての責任を問わないでください。著者に「どうしてあの映画は……」と質問してもむだです。著者も「どうして?」と思っているのですから。
この映画の製作に際して、太平洋の両岸で怒りと失望が生じたことは残念に思います。
後に聞いたところでは、駿氏は結局引退はせず、今は別の映画を撮っているとか。このこともわたしの失望を大きくしました。早く忘れてしまいたい出来事です。
http://hiki.cre.jp/Earthsea/?GedoSenkiAuthorResponse
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