大学時代、サークルの友人と二人で深夜のドライブをしていた。
思いつきで隣の市のラーメン屋に遠出して、その帰り道に
くねくねと蛇のようにうねる山道を通った。
昼間は何度か通ったことがあったが、夜になるとこれが同じ道かと
思うくらい無気味な雰囲気だった。
ハンドルを握っていたのは俺だったが、わりとビビリのほうなので
運転をかわってもらったほうが気が楽だった。
しかし友人の山根はラーメン屋で勝手に一杯ひっかけていたので
助手席で無責任な軽口を叩くばかりだった。
そんな時、
「ここの峠って色々変な話があるよな」
急に山根が声をひそめて囁いてきた。
俺は聞いたことがなかったが、「何なに?どんな話?」
なんて聞くと、ヤツのペースだと思ったので興味ない風を装って
「ああ」とそっけなく返した。
山根はなぜか俯いてしばらく黙っていた。
続きを読む