人気まんがを、どうやってかいたらいいか。そんなことが一言で言えたら苦労はしないのですが、ただひとつ言えるのは、
普通の人であるべきだ。
ということです。(中略)かたよったものの見方や考え方をする人は、大勢の共感を得ることはできない。
だから、まず最初に普通の人であれ、というのはそういう意味なのです。
そのうえで、ただ本当に普通の人であったのでは、まんがなんてものはかけません。プラスアルファ――なにか自分だけの世界を、ひとつは持っているべきである。
それは、必ずしもまんがに直結したものでなくてもいいのです。
釣りが上手であるとか、模型作りに熱中するとか、SF小説を読みあさるとか。そういったことが、その人の奥行きになって、しごくありふれたものにプラスして、何か個性みたいなものが生まれてくるんじゃないか、と思うのです。
(『藤子・F・不二雄自選集 ドラえもん』上巻(小学館))
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